足下に熱帯林を踏みつけて

日本の住宅産業は新国立競技場と同根の問題を抱えている

《業界は熱帯材合板が環境・社会的影響をもたらすことを認識しつつも、調達改善には依然及び腰》

日豪の環境NGOが新レポートで告発

日本の住宅産業は、深刻な環境破壊や人権侵害を伴う伐採が行われている地域から産出された木材原料の利用に関連して、2020年東京オリンピックと同様の問題に関わっています。マレーシア・サラワク州において、これらの合板の合法性は疑わしく、また汚職が関連している可能性があります。

これは、一般の消費者が新たな住宅の購入を通じて、東南アジア、とりわけマレーシア・サラワク州で蔓延する熱帯林の破壊に加担していることを意味しています。

違法伐採に関係してきたサラワク州における悪名高い木材伐採業者であるシンヤン社からの合板を含む、新国立競技場における熱帯林の利用を暴くことに関わった環境NGO二団体が、日本の消費者に供給される住宅で同様の問題を明らかにするためのレポートを制作・公表しました。このレポートでは、残された最後の熱帯林を保護するため、サラワク州産材のサプライチェーン上にある企業に対して利用を停止することを要求しています。

また、消費者に対してもサラワク州産材が住宅に使われないように業者に要求することで、新たに建設される住宅において森林破壊を引き起こす製品の購入に加担しないという役割を果たしてほしいと述べています。

マーケット・フォー・チェンジ(Markets for Change)と熱帯林行動ネットワーク(JATAN)が本日発表した新たなレポート「足下に熱帯林を踏みつけて」では、住宅メーカーやマンション・デベロッパーがフローリング建材に使ってている合板に関連する深刻な問題への対処で、日本の住宅産業が十分な進捗を示したどうかを分析しています。このレポートでは、日本への合板の主要なサプライヤーとなっていることからマレーシア・サラワク州に焦点を当てています。

「われわれは数年間にわたり、サラワク州に残された最後の熱帯林から産出された合板の利用について調査し、環境的に非持続可能な伐採に対して需要を生み出してしまう日本の住宅建設の有り様に注目してきました。このような合板はしばしば汚職や違法行為とも関連があるからです」とマーケット・フォー・チェンジのCEOペグ・パット氏は述べています。

「住宅ハウス業界はこのことを十分に認識しています。しかし、概していえば、変化を生むためにその重い腰を上げることはありません。わたしたちの今回のレポートをご覧いただければ、優良企業と評されている住宅メーカーでさえ、サラワクの現地で起こっている問題を解決するための行動をとることにあまりにも緩慢であると言わざるを得ません。

「国立競技場で大量の熱帯材が使用されていた問題と住宅の建設に熱帯材が使われている問題とはまったく同根の問題なのです。住宅の場合、その問題が毎年のように繰り返されているわけです。伐採が熱帯林やオランウータンをふくむ絶滅危惧種に与えている影響を知れば、多くの日本人はぞっとすることでしょう。

「ですからわたしたちは、一般の日本の消費者が住宅を購入する際に、住宅ハウスメーカーやマンションの販売業者に対してより高い基準を突きつけていただきたいと思っているのです。日本の国産材を使うことは最後に残されたサラワクの熱帯林を保護し、日本の経済を押し上げるのに一役買えるのではないでしょうか」。

環境NGO二団体はサラワクの現場に足を踏み入れて調査も行ってきました。また、日本では東京と大阪でセミナーの開催や個別の企業訪問を通して懸念を伝えてきました。さらに、変化が必要であると説き、どのようにすれば調達方針を開発し改善できるかを示してきました。

「合板による複合フローリングの製品サプライチェーンに連なる65の企業にはこれまでの三年間に三つのレポートを送付しています。そこにはそれぞれの企業による合板の需要を満たすために伐採がどう破壊をもたらしているかが詳しく描かれています。わたしたちは調査を通して、個々のサプライチェーンをたどるために、また、サラワク産材を建築から排除するために企業が調達方針や対策をどう実行しているかを明らかにしようとしてきました」と熱帯林行動ネットワーク(JATAN)事務局長の原田公は述べています。

「しかし、そうした努力もほとんど無に等しかったと新レポートでは結んでいます。住宅産業はサラワクの森林や住民が被っている影響に対して責任を取ろうとしていないことがわかったからです。

「わたしたちは住宅産業に対して、緊急に、こうした由来の合板を排除していただきたいとお願いしています。世界有数の生物多様性を有する、そしていま急速にその姿が消滅しようとしている熱帯林の破壊を食い止めるよりも安価な木材を手に入れる方が重要などという姿勢は現代にあっては到底受け入れられるものではありません。熱帯林の伐採はまた、先住民が使ってきた先祖伝来の森林に破壊の爪痕を残していきます。いまこそ、日本における合板需要に対して責任あるアクションを取るべきときではないでしょうか」。

新レポートでは、調達のパフォーマンスで企業のランキング付けを行っています。また、対処すべき重要な項目について詳述しています。

  • 違法に伐採された木材が日本の市場への流入を許している法的な抜け穴
  • 伐採が気候変動に及ぼすような高炭素蓄積林に由来する林産物の回避が持つ重要性
  • さまざまな森林認証制度が持つ個別の問題点
  • 合板製品の原産地サプライチェーンにおけるデューデリジェンス調査の必要性

昨年施行されたクリーンウッド法の不備が明らかにされています。両団体はこの法律が問題をすべて解決するには必ずしも強力ではないからです。デューデリジェンスによるサプライチェーンの分析に取り組むに当たって何を調査しなければならないか正確に規定できていないのです。また、伐採許可の発効や合法性証明の発行において汚職が入り込む余地を排除する手立ての規定がまったく欠けています。サラワクではまさに汚職の問題が蔓延しているのですから。

 

連絡先

マーケット・フォー・チェンジ(Markets For Change) CEO ペグ・パット(Peg Putt) TEL +61 418 1227 580

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)代表 原田 公(はらだあきら)TEL 090 9156 1291


Be the first to comment

Please check your e-mail for a link to activate your account.